初めてのソウル。ソウルは清潔な街だ。ゴミが落ちているところを見たことがない。ゴミ箱がそこら中にあるからそう結果的に実現できているという感じはなく、どのように実現されているのかがいまだに謎である。街としては碁盤の目の街、銀座やニューヨーク目線では分かりづらい。かつ横断歩道がなく、いちいち地下を通って渡らなければならないから、良い運動ではあるがとても疲れる。そもそもエレベーターも無い中で階段の上り下りをしなければならず、バリアフリーには程遠い。地下鉄(完全なホームドア)やバスは外国人にも分かりやすく乗りやすい。外のバス乗り場のベンチが電気椅子で温かかったことには感動した。WOWPASSというカードを使えば通常の両替より安いレートで両替できたらしいが、既に日本で両替してしまっていたため、ただの交通系ICとして使う。それにしても交通費は以上に安い。旅行もすごく安上がりだった。交通費も食費も安く、世界遺産や博物館も異常に安い。あの立派な戦争記念館に至っては無料だ。どうやって賄っているのか不思議になるぐらいだ。ただ街並みとしてもどちらかと言えば新興国に近く、洗練されたものではない。まあ明洞中心にしか滞在しておらず、梨泰院とかに行けば印象も違ったのかもしれない。
1日目
4:30起きの出発のため、疲れてロクに回れず食べて終わった1日目。明洞でダッカルビを食べようと思ったら2人前から、焼肉を食べようと思ったら2人前からと言われる。疲れて店を出る元気も無く1人前可のビビンバを食べるも物足りず、その足でshinsunソルロンタンを食べに行った。ニューヨークではよく韓国料理を食べた。日本食だと居酒屋か高級鮨になってちょうどいい中間がない。中華も比較的そんな感じ。毎日ハンバーガーは無理となると、韓国・ベトナム・タイをまわる感じになる。コリアンタウンで初めてソルロンタンを食べた時、どれだけ塩を入れても味が薄く旨みを感じなかった。今回も何も入れなかったらやっぱり薄かったけど、少し塩を入れたら美味しくなった。とはいえ熱々ではないのが熱々信仰の日本人としては残念。キムチは酸味が全くなく、苦味を感じる私好みで感動的だった。
2日目
昨日に続き雲一つ無い晴天。寒くはあるが、晴天は世界遺産を美しく見せていた。それにしてもこの街の人はなぜこの寒い中外で冷たい飲み物を飲んでいるのか理解に苦しむ。そして室内は以上に暑い。どうやって温度調節をしているのだろうか。
景福宮(キョンボックン)、徳寿宮(トクスグン)、昌徳宮(チャンドックン)に行ってきた。新韓銀行のオーディオツアーがすばらしく、景福宮がまずできたものの、世が平安でないのは、治めているエリアにおいてこの王宮が偏った位置にあるからだと考え、対称となるよう昌徳宮ができたということらしい。徳寿宮は大韓帝国の皇居として高宗が過ごした場所だ。景福宮はチマチョゴリを着たあらゆる人種の観光客で溢れており、とにかく広い。王宮の造りや色彩はどれも非常に似ている。
歩き回って疲れ果てた後、サウナ大国ソウルで人気のSPALEXに行った。安いし(13,000ウォンぐらい?)、大衆浴場という感じ。地下3階にあることに驚きつつ(チムジルバンは地下4階)、恐る恐る到着。温度の違う色んなサウナがあり、多くの人が思い思いに楽しむ。ひたすらおしゃべりしている人や寝ている人もいる。客層も老若男女幅広い。65度や75度のサウナに入ったがそれほど暑い感じは無かった。水風呂はなく外気浴が気持ちよかった。
ホテルにも利用できるジムとサウナがありその後で行ってみた。45度のスチームサウナと80度のドライサウナ。80度は無理だった。チムジルバンは経験として楽しかったがホテルのサウナの方がやはり快適ではある。
タッカンマリというものを食べてみたかったが、ガイドブックでオススメされていたお店は行列で断念。代わりに明洞のチーズダッカルビを食べに行く。2人前からしか注文できないというから、2人前を食べてやろうと思って注文するも1人前が限界。最初は美味しい。ただすぐに飽きるのだ。チーズもすぐに固まるし。1人で旅するには向かない街だと感じる。
3日目
前日の晴天からうって変わって雪景色。カーテンを閉め切ったまま降りて行ったからびっくり。粉雪は美しく、街を彩っていた。昨日のうちに世界遺産を見ておいてよかった。今日は室内で博物館巡り。
西大門刑務所:雪の中の赤煉瓦は不謹慎ながら美しかった。とにかく広く、痛ましい歴史が刻まれている。当時の施設が多く残っている、というより残すと決めた決意を感じる。室内に入るとネイティブのような日本語でいかに韓国併合まで行われたかを説明してくれる。江華島事件>>江華条約(不平等条約)>>甲午農民戦争(大規模な農民反乱、清に援軍依頼、日本も出兵)>>日清戦争>>下関条約>>閔妃暗殺事件(ロシア寄りの王妃を日本が景福宮で暗殺、全員無罪)>>日露戦争>>韓国併合ということだそうだ。日清・日露戦争の舞台は朝鮮だ。理論的に考えれば分かるが、なぜかあまり知識がない。そもそも日朝関係の話はあまり日本史・世界史で詳しくやらないため、いかに無知なのかを知る。不平等条約もかつて日本が欧米列国にされたことでもあるし、日本には日本の理屈があったのだろう。だがやられた方は未来永劫忘れない。反対に言えば、日本という国はなぜ米国に対してこれほど悪感情を持っていないのだろうか。原爆は落とされたけど、それだけのことをしていたし、植民地にもされなかったし、その後圧倒的な経済成長を遂げたし、まあいいかということなのだろうか。
戦争記念館:こちらは戦後の朝鮮戦争から現代までの歴史が中心。先史時代から日帝強制占領期の展示もあるらしいがどうやら見逃したらしい。朝鮮戦争の概要と国連の貢献を示す展示。アフリカからエチオピアも参加している等、発見がある。朝鮮戦争で援助される側であった国がベトナム戦争を支援し、PKOを行うという展示が続く。これもまたとにかく広く、改めて歴史を学び直す。米露の代理戦争とか言われる朝鮮戦争だが、勝手に引かれた線を境に殺し合いができるだろうかと思う。関ヶ原の戦いみたいにそもそも国が違うのであれば分かるが、この前まで抗日運動を一緒にしていた中で次の日に同胞を攻撃できるのだろうかと思うが、少なくとも北朝鮮側にとっては大義や目指すべき方向性が違うものは敵だったのだろう。
昨日のチーズダッカルビで鶏はお腹いっぱいだったため、サムギョプサル(豚)が食べたいと思うが、焼肉は基本2人前以上でどこも1人では受け入れてくれない。よってサムゲダンを食べることに。美味しかったが味はソルロンタンに近く、大量の塩コショウを投入。鶏が一羽、中にお米が入っている。改めて豚が食べたい。ラーメンが食べたい。辛ラーメンをお土産に買おうと思ったが、空港のDuty Freeには無かったから、違うラーメンを買ってみた。韓国のりにごま油。お土産は十分だ。最後に缶のマッコリを飲んだ。あんまり美味しいと思ったことが無かったが、飲みやすく美味しかった。乳酸菌たっぷりらしく美容にも良いらしい。発泡日本酒に近いような感じ。
こんな感じでソウルを満喫。もう少し暖かい時期だったら街歩きも楽しめたかもしれない。関係が難しい隣国で嫌な思いをすることもあるかと思ったが、そのような経験は一度もなかった。