広島に行くのは2回目だ。前回広島市内や宮島に行こうとしたが、初日の原爆ドームで足を負傷し、その後の予定をこなせなくなった苦い思い出がある。行けたのに行けなかったと思うとどうしてもリベンジしたくなり行ってきた。3泊する予定だったが、仕事の都合で1泊で帰るように予定変更せざるを得なくなった。とは言え弾丸でまわりたい所は全てまわれたので満足はしている。馳走啐啄一十に行けなかったのは残念だが、きっと私の舌レベルではまだ難しいということにする。地方都市を複数訪れて思う。やはりどこも似ている。広島も高松も福岡も金沢も。城があって公園や庭園があってまとまっている。
広島城:高松城と似ていると思ったが、高松城は海城(水城)、広島城は平城で異なる模様。他には山城、平山城がある。広島城はすばらしい。原爆によって壊滅後、再建されていることではなく、展示がすばらしい。広島の歴史が非常にわかりやすく展示されている。階段で5階まで上がるのは大変だが、その価値はある。想像以上だった。昔大河で見た毛利元就とはここの人だったのかと今更すぎる感想を持ちながら。英訳もされていて、原爆ドームを持つ街の使命感からくるものなのか。ぜひ展示を見てもらいたい。
ひろしま美術館:印象派を中心とした西洋近代美術コレクションは国内屈指ということで行ってみたが、常設展は期待したほどの数も無く残念だった。特別展の現代アートの展示スペースの方がよっぽど広く、常設展のスペースが減らされているのだろうか。現代アートは個人的に好きではないのだ。気持ち悪さを感じさせるもので強烈なインパクトを残す。社会的意義も理解するが、疲れるのだ。
宮島・厳島神社:日本三景の一つ、海に浮かぶ大鳥居。広島駅から宮島口駅までは30~40分程度でアクセスが良い。ここからフェリーで宮島桟橋に行く。休日だったからかもしれないが、5~10分で次のフェリーが来るから大して待つこともなく島に上陸できる。それだけ多くの人があの小さい島に訪れているということだが。フェリーから降りると鹿がお出迎え。鹿といえば奈良のイメージだが、これほど多くの鹿がいるとは知らなかった。弥山(みせん)へのロープウェイは休止中で行けなかったが、厳島神社周辺と表参道商店街を堪能した。見所が近接しているため、移動も楽で分かりやすい。厳島神社や大願寺、豊岡神社(豊臣秀吉を祀る)を見学し、表参道商店街で牡蠣カレーパンやもみじ饅頭を食べ歩きをする。特にお勧めは宮島ブルワリーのビール飲み比べ。コーヒーフレーバーのビールやオーソドックスのビールを楽しめる。天気に恵まれたこともあり、島はとても気持ちがいい。すごい人のため物思いに耽るわけにはいかないが、神の島の空気を感じることはできる。創建6世紀で1168年に平清盛が現在の姿に修造。原爆の影響も受けずに今に至る。明治時代に神仏分離令により神道と仏教が完全に分けることになり、仏像が大願寺や大本山大聖院に移動。朱色の美しい建築は他の重要文化財でも見られるが、厳島神社はやはり海に面した立地が美しさを増し、人を惹きつけるのだろう。
宮島ではしゃもじの土産物が多く販売されていた。日清・日露戦争時には、全国から召集された兵士が広島の宇品港から出征する際、厳島神社に無事の帰還を祈願し、「敵をめしとる」という言葉に掛けて杓子を奉納し、故郷への土産物として持ち帰ったらしい。
宮島口駅すぐの「あなごめしうえの」はとにかく有名なお店で、予約を取らないため行列だったが並んでしまった。1時間待ちでいただいたあなごめしは並で2,800円ぐらい。私には醤油が強く、外側がパリパリなのは好みではないと分かった。あくまで好みの問題だが。
呉・大和ミュージアム:呉は広島駅から電車で30〜40分、駅前に大和ミュージアムとてつのくじら館(海上自衛隊呉資料館)があるからアクセスは良い。ここの展示もしっかりしている。写真とともに経緯をよく知ることができる。IHIがあり、マツダがあり、戦艦大和をつくったこの街には当時の技術が結集していた。てつのくじら館では、海上自衛隊の掃海について学べる。若い時から海外にばかり目を向けてきた。日本について知らないことが多いことを改めて知る。
食事:鮨まつばらは美味しかった。この旅で唯一美味しかったものかもしれない。グラスシャンパン込みで2万円ぐらい。歌舞伎町というかすすきのというか、地方都市の歓楽街には似たようなものがあるか、気持ち悪さしか感じない。そういうエリアに片足踏み込んだような立地にあるのは残念だ。お好み焼きやカキフライの牡蠣は大きくて食べ応えがあるが、それほど旨味を感じなかったし、いかんせん広島風お好み焼きが好みじゃなかったのが残念だ。これは行列のEKIEで唯一並ばずに入れたお店だったからなのか、ジャンルそのものなのか。あまり行けなかったが広島にはおしゃれなカフェが多い。ゆっくり旅ができるならカフェを楽しみつつ暮らすように旅したい。唯一飲んだコーヒーは尾道浪漫珈琲で、レトロな雰囲気のカフェで熱々のオリジナルブレンドコーヒーをいただいた。